第112回大規模改修工事実践講座 開催報告

■ 第112回大規模改修工事実践講座(工事見学会) ■
会  場 千里王子高層住宅B棟
開催日時 2016年2月6日(土) 13:00~16:00
所 在 地 吹田市
建物概要 竣工1976年 105戸 8階建 1棟
定  員 35名
開催報告

耐震改修工事と今回で3回目となる大規模改修工事を実施している千里王子高層住宅B棟にて、工事見学会が開催されました。
はじめに管理組合理事長より1976年竣工後から現在までの様々なグレードアップ工事や管理組合の取り組みについて、お話がありました。1995年に長期修繕委員会が発足されて以来、メンバーが一人になってしまうこともあったそうですが、現在は理事会と修繕委員会をあわせると、住民全体の1/4が参加していると説明されると、会場からは感嘆の声が上がりました。修繕委員会では、2011年の東日本大震災をきっかけに耐震改修にむけて動き始めたそうですが、決して住民の皆さんから容易に合意がとれたわけではありません。「居住者の命を守ることと避難経路を確保すること」「最小限の被害にとどめ、被災後も補修で住み続けられること」を基本的な考えとし、繰り返し報告会や検討会が行われ、住民にアンケートを実施するなど、管理組合全体で入念な協議をされました。
次いで、耐震診断から携わり、工事の設計監理を総括担当している堤金次(一級建築士・集合住宅維持管理機構主任専門委員)が映像を用いて工事の説明をしました。景観が損なわれず、改修後も快適に暮らせるように工法等が検討されました。採用された工法の中で、南面のバルコニー内の柱・梁型の外部面の既存塗装を削ってから、加工した鉄板を取り付け補強する工事では、振動・騒音が極力小さくなるような工法でしたが、それでも想像以上の振動と騒音で、さらに安全面の配慮から窓ガラス全面をベニヤ板で養生したので、真っ暗な室内で対象住戸居住者の方々には過ごしていただくなど、居住者の方々、管理組合役員の方々の多大なご協力をいただいていることを述べました。
現場見学後、説明会場にて質疑応答が行われました。修繕積立金や工事費用について、工事に対しての苦情への対処方法についてなど盛んに意見交換がされ、参加後のアンケートでは「他では経験出来ないものだった。」「居住者の意識の高さに驚いた。」との声をいただきました。