【開催報告】第109回大規模改修工事実践講座(工事見学会)

開催日時:2015年8月1日 13:30~16:00 (受付開始13:00)
会  場:ローレルハイツ神戸1号棟
所 在 地:神戸市兵庫区
建物概要:竣工1999年 307戸 24階建 1棟
共  催:神戸市すまいとまちの安心支援センター

109回目の工事見学会は、JR兵庫駅近くの超高層マンションを会場に開催しました。
まず大規模改修工事の設計監理を担当した主任専門委員の中島幸博(一級建築士)が、現地調査当時の建物の状況を実際の写真をもとに説明し、その結果を踏まえた設計内容について解説しました。具体的には、屋上防水については不具合のある箇所だけを修繕して保護塗装を施し全面改修は行わなかったが、汚れの目立つシール部分は、汚れの発生を防ぐために既存のものとは材料を変えてすべて取替えたこと、外壁の直接雨が掛かる箇所とそうでない箇所によって材料を変え、将来的に同じ周期で修繕できるようにしたこと、また、今回の工事のために建物に加えた変更を、次の大規模改修工事にも仮設として利用できるように保存したことなどが、調査結果と建物の特徴そして管理組合の意向を反映させた点として挙げられました。また、設計意図を確実に伝達し、施工精度の均質化を図るため、仕様書の内容は施工前に現場代理人、職長と共に確認し、塗装やシーリング撤去のテスト施工をおこなう様子も紹介しました。
続いて管理組合理事長の山下さんは大学の恩師から、今回の大規模改修工事の取組みを今後の管理組合の活動に生かすという視点をもつよう助言があったことを明かされました。1回目の大規模改修工事を主体的に取組むと2回目以降もきっと主体的になるし、大規模改修工事に関することだけでなく、その他プラスαの活動に転じることもできるというアドバイスを受け、自分たちのマンションを将来どうしていきたいかについて委員会で真剣に議論を重ねたそうです。コンサルタントの選定にあたっても、自分たちの思いを設計に落とし込んで、施工に結びつけることができるかどうかを重要視し、値段は高かったけれども、ヒアリングの際に、日常的に共用部分に目配りしていた修繕委員からの実質的な質問に対して最も的確かつ誠実に回答した集合住宅維持管理機構に決めたと話されました。コンサルタント費用が高くても、きちんとしたコンサルタント(設計監理)であれば、無駄な工事を省くことができて十分元が取れるという判断があったそうです。

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【開催報告】第108回大規模改修工事実践講座(工事見学会)

開催日時:2015年6月6日 13:30~16:00 (受付開始13:00)
会  場:集合場所(説明会場)/世良美術館 1階サロン
見学会場/ハイコート御影
所 在 地:神戸市東灘区
建物概要:竣工1983年 14戸 3階建 1棟
共  催:神戸市すまいとまちの安心支援センター すまいるネット

第108回大規模改修工事実践講座は神戸市すまいとまちの安心支援センターと共催で、見学させていただくハイコート御影から程近い世良美術館をお借りして開催しました。
前半は、今回の設計監理業務を統括の寿主任専門委員(一級建築士)と共に担当した河合専門委員(同)から、修繕委員会の設立から今日に至るまでの全体のスケジュールについて、実際に用いた資料や建物の写真を交えながら説明しました。
マンションの見学を挟んで、後半はハイコート御影の濱崎修繕委員長が管理組合としての取り組みをお話ししてくださいました。管理会社への相談経緯やコンサルタントの選定経過のご説明のあと、マンションの大規模改修工事について、「工事範囲や工事内容が広範囲にわたるため、管理組合の役員がそれを把握し、進めて行くことは困難で、工事の見積を複数社からとったところで内容の比較検討ができない。工事の品質確保のためにも、客観的に判断できるコンサルタントは必要だ。」と考えを述べられました。

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【開催報告】第107回大規模改修工事実践講座(工事見学会)

開催日時:2015年5月16日(土) 13:30~16:00
会  場:朝日プラザ千船
所 在 地:大阪市西淀川区
建物概要:竣工1988年 103戸 9階建 1棟

 朝日プラザ千船管理組合にご協力いただき、マンション近くの大和田福祉会館をお借りして、第107回大規模改修工事実践講座を開催しました。
 まず、当マンションの大規模改修工事の設計監理を統括している後藤主任専門委員(一級建築士)から、朝日プラザ千船における大規模改修工事の概要と具体的な修繕項目、そして管理組合を主体とした取り組みの流れについて説明しました。実際のビデオ映像で工事中の作業工程の説明をおこないました。
 後半は、管理組合理事長と修繕委員長のお二人から報告をしていただきました。朝日プラザ千船の大規模改修工事に向けた取り組みは、5年前に定期総会で大規模改修工事を実施することを、大凡のスケジュールを添えて報告したことに始まります。設計と施工を分離した方が、設計施工方式よりも客観的なチェック機能が働き、きっちりした工事を担保できると考えてコンサルタントを導入することを決めたこと、そして、コンサルタントがきっちりと役目を果たすならば、最終的に確かな施工者を選択できると判断したことなど、管理組合としての考えを述べられました。早くから準備したことが功を奏し、特段苦労したことはなかったそうですが、敢えて言うと予算の効率化とそのための取捨選択に若干腐心したと振り返られました。
 質疑応答では、工事中の居住者からの意見や要望について質問が出ました。ベランダをいつまでに片付ければいいのか?植木鉢はどうしたらいいのか?洗濯物はいつ干せるのか?など、ベランダにまつわるものが多かったそうで、特に洗濯物情報が大切だとのことでした。理事長からは、取組み全体を通して役員がどれだけちゃんと緊張感をもってやっているかを伝えたら、他の居住者にも「文句を言ってる場合じゃない。」とわかってもらえるはずだとアドバイスがありました。この他、工事前の子供向け説明会のことや、仮設工事のこと、工事中の管理会社の役割や積立金改定の合意形成についてなど、さまざまな質問が時間いっぱいまで出ましたが、管理組合役員のお二人が丁寧に経験をお話しくださいました。
 この後、現地に移動してエレベーターホール、廊下から屋外階段と工事中である足場が掛かった現状と説明のあった外壁塗材の工程毎試験施工面、ほぼ工事が完了している住戸玄関まわりの仕上がりなど、大規模改修工事の実際について理解を深めました。
 アンケートでは「役立つ情報がたくさん得られた。」、「専門家の話だけでなく、管理組合役員の方の説明、経験が聞けた点がよかった。」などの好評をいただきました。

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【開催報告】第106回大規模改修工事実践講座(工事見学会)

開催日時:2015年1月31日(土)13:30~
会  場:国土コーポ諏訪森
所 在 地:堺市西区
建物概要:竣工1974年 72戸 5階建 4棟

 国土コーポ諏訪森の大規模改修工事で設計監理を担当した主任専門委員の北村順一(建築工事担当)と専門委員の浅田明弘(設備工事担当)が、今回の大規模改修工事のすすめ方や実施した工事内容について説明しました。
 はじめに、今年で築43年になる国土コーポ諏訪森のこれまでの修繕履歴が紹介されました。当管理組合では分譲時に管理人室が分譲主の所有になっていたことや、分譲主から必要な書類(竣工図、建築確認通知書、構造計算書など)が引き渡されていなかったこともあって、入居後すぐに順調な維持管理がスタートしたわけではありませんでした。建物の漏水や設備の維持管理の問題にも長年悩まされましたが、管理組合の努力の末、竣工後20年ほどを経てようやく建物の維持管理を軌道に乗せ、建物に適切な修繕を施すことができるようになりました。
 今回は、躯体修繕や外壁塗替、屋上やバルコニーの防水などの一般的な大規模改修工事の項目に加え、バルコニーの手すりや隣戸との隔壁を取替える工事を実施しています。熱による収縮と膨張を繰り返すバルコニーの鉄製手摺りの支柱埋め込み部分には亀裂が生じやすく、そこから雨水が入り込むと躯体に悪影響を与えてしまいます。安全対策を十分に講じた上で、全戸アルミ製のものに取替えました。また、腐食による漏水を起こしていた洗面浴室系統の雑排水管について、各戸の洗面所の洗面台や壁床を撤去しながら配管の取替えをおこないました。工事にあたっては同一縦系統のすべての住戸で同時に4日間在宅することが前提でしたが、早めの広報と調整の甲斐あって大きなトラブルもなく実現しました。もしも設備の単独工事なら、調整だけで2ヶ月以上はかかるところ、大規模改修工事とあわせて実施したことでスムーズに進めることができました。工事の範囲は専有部分に及びますが、居住者全員が漏水の不安なく暮らすために必要な配管取替え工事と、それに伴う専有部分の工事であるとの管理組合の判断から、洗面所のリフォームの有無に関わらず撤去、復旧にかかる費用はすべて修繕積立金から取り崩すことが合意されていました。また、そうすることで在宅についての協力が得られやすかったとも言えます。

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